Solanaのトークン発行者だけができることは?供給変更と凍結をローカル実験で確認
2026年10月12日・ためてこ編集部
「発行上限あり」「もう増やせない」と書いてあるトークンでも、その説明だけでは発行者の権限が消えたか分かりません。SolanaのSPL Tokenでは、mint authority(追加発行の権限)とfreeze authority(口座を凍結する権限)がmintアカウントに設定されます。
この記事の結論
ローカルVMでの実験では、発行者が後から供給を10倍にすると、1万枚を持つ保有者の持ち分は総供給の1%から0.1%へ下がりました。凍結権限があれば保有者口座の送金を止められ、権限を放棄した後は同じ実験内で追加発行・凍結ができませんでした。これは本番チェーン上の銘柄を調べた結果ではなく、権限の仕組みをローカルで確かめた記録です。
「発行者の権限」はトークンの説明文だけでは分からない
Solana公式ドキュメントによると、mint accountにはmint authorityとfreeze authorityを設定できます。前者は追加発行、後者はトークン口座の凍結に関わります。トークン口座は残高を記録するアカウントで、凍結されると送金などが制限されます。
つまり「供給は固定です」「保有者の資産を止められません」といった文章を読むだけでは、現在の権限状態までは確認できません。説明文と、チェーン上のmint accountに記録された権限は別々に確認する必要があります。
| 権限・操作 | 今回のローカル実験で起きたこと | 読み取れること |
|---|---|---|
| mint authority | 発行者が供給を後から10倍にできた | 権限が残る間は追加発行が可能 |
| freeze authority | 保有者の口座を凍結し、送金を止められた | 残高を持っていても移動できない状態があり得る |
| 権限の放棄 | mint・freeze権限を放棄した後、再発行・再凍結は失敗した | 宣言ではなく、権限欄の状態が確認点 |
供給を10倍にすると、保有枚数が同じでも持ち分は変わる
実験記録では、まず総供給の100%にあたる100万枚を発行者が持ち、そのうち1万枚を別の保有者へ移しました。この時点の保有者の持ち分は総供給の1%です。その後、発行者が供給を10倍に増やしました。保有者の枚数は1万枚のままですが、総供給に対する割合は0.1%になりました。
| 時点 | 総供給 | 保有者の枚数 | 保有者の持ち分 |
|---|---|---|---|
| 1万枚を移した後(供給は増やす前) | 100万枚 | 1万枚 | 1% |
| 供給を10倍にした後 | 1,000万枚 | 1万枚(変わらず) | 0.1% |
保有者のトークンが勝手に減ったわけではありません。分母である総供給が増えたため、割合が変わったという結果です。価格や市場価値の変化を示す実験ではありません。
これは solana-bankrun を使ったローカルVMの実験です。実在のトークンやmainnetで行った取引ではなく、損益や市場の動きを測ったものでもありません。割合の計算は実験ファイルに記録された供給枚数だけを使っています。
凍結権限があると、保有者の送金を止められる
同じ実験で、発行者は保有者のトークン口座を凍結しました。凍結された口座から送金しようとすると、記録上は「Account is frozen」で処理が止まりました。凍結を解除した後は、操作が通っています。
Solana公式資料も、freeze authorityを使った凍結中はトークン口座の送受信や焼却ができず、freeze authorityが取り除かれたmintでは新たな凍結ができないと説明しています。個別のトークンで誰が権限を持つかは、mint accountの現在状態を別途確認してください。
- ○ mint authorityが残るかを確認する
- ○ freeze authorityが残るかを確認する
- ○ Token-2022など追加機能の権限も確認する
- × 「固定供給」「凍結不可」という紹介文だけで状態を決めつけない
権限を放棄すると、発行者自身にも戻せない制約がかかる
実験ではmint authorityとfreeze authorityを放棄した後、もう一度供給を増やす操作と口座を凍結する操作を試しました。どちらも記録上は失敗しました。Solana公式の説明でも、authorityをNoneにするとその権限は恒久的に取り除かれる扱いです。
| 操作 | 権限を持っていた間(放棄前の実験) | 権限を放棄した後 |
|---|---|---|
| 供給を増やす(追加発行) | 供給を10倍にできた | 失敗(記録上) |
| 口座を凍結する | 凍結でき、送金が止まった | 失敗(記録上) |
ただし「権限がゼロならどんな操作も不可能」と広げて考えるのは早計です。この記事の実験は標準的なSPL Tokenのmint・freeze権限を扱ったローカル検証です。Token-2022の拡張機能や、別のプログラムが関わる設計では、追加の権限や条件を調べる必要があります。
今日できる確認手順
特定のトークンを調べるなら、宣伝文を読むだけで終わらせず、次の順に情報を確認します。操作を行う必要はありません。アドレスや権限表示を読むだけに留めます。
- トークンの公式資料から、ネットワークとmint addressを特定する。
- 公式のSolana Explorerなどでmint accountを開き、mint authorityとfreeze authorityの表示を確認する。
- Token-2022か従来のToken Programかを確認し、拡張機能の権限が説明されている場合はその項目も読む。
- 説明文の「固定」「凍結不可」と、実際の権限表示が一致しているか照合する。
- 分からない項目があれば、権限が無いと判断せず、公式ドキュメントや開発元の説明に戻る。
この手順は権限の読み方を整理するもので、トークンの安全性や価値を保証しません。アドレスの取り違えにも注意してください。
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| 読みたい内容 | 記事 |
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| 家計から投資原資を考える | 投資原資の家計戦略 |
出典:Solana公式「Tokens」「Set Authority」「Freeze Account」(参照日:2026年10月11日)。実験結果はsol-toybox history/phase1-token.json(solana-bankrun 0.4.0、ローカルVM)を参照。