暗号資産の積立を自動化すると何が止まる?GitHub Actions botの構成と実測
2026年11月6日・ためてこ編集部
暗号資産の積立を自動化すると、毎月の注文を忘れにくくなります。ただし「一度作ったら完全放置で安心」にはなりません。実際に動かすと、銀行からの入金待ち、板に注文を置けない瞬間、APIの一時エラーなど、止まる場所がいくつもあります。
この記事の結論
自動化の中心は「買う処理」より、状態を保存して、失敗した段階から安全に再開する仕組みです。運営者のGMOコイン用botは、6時間ごとに起動して今月の状態を一段進め、入金待ちや注文待ちは次回に持ち越します。2026年10月の記録ではBTC・SOLが約定済みですが、これは特定の構成の運用記録で、利益や将来の約定を保証するものではありません。
買う処理を常駐させず、6時間ごとの小さな処理に分けた
最初の設計では、月に一度起動してbotの中で数日間リトライする案を考えました。しかしGitHub Actionsの1回の実行に処理を居座らせるのではなく、スケジュール起動のたびに状態を確認して一段進める形にしています。ワークフローは6時間ごとに起動し、前回分と重ならない設定も入っています。
| 段階 | botがすること | 次に見るもの |
|---|---|---|
| 入金待ち | 利用可能な日本円残高を確認 | 残高が閾値に届いたか |
| 注文中 | 指値注文を出し、注文IDを保存 | 注文が約定・失効・待機のどれか |
| 完了 | 状態と約定履歴を保存 | 今月分の二重注文をしない |
状態はJSON、約定の記録はCSVに残します。今月が完了済みなら同じ月に再発注しない、注文IDが生きている間は同じ銘柄の注文を重ねない、という確認を状態遷移に含めています。スケジュール実行は遅れたり抜けたりすることがあるため、決まった時刻に一度だけ動けばよい設計にはしていません。
止まった場所は、入金・公開API・注文の3か所
- 入金が届かない。 残高が設定した最低額に達しないと注文へ進みません。記録上は数日待っても届かなければその月を失敗状態にし、銀行振込を確認してから手動実行で再開する設計です。
- 公開APIを続けて呼びすぎる。 板の観測処理の直後にbot本体を動かした際、2026年8月10日に銘柄情報取得がレート制限エラーになりました。ワークフローに3秒の待ち時間を追加し、観測処理が失敗しても注文処理まで止めないよう分けています。
- Post Only注文が板に置けない。 発注時点で相手注文とぶつかると、Post Onlyは約定せず失効します。失効後に気配を取り直して再試行し、未約定の注文が長く残る場合の扱いも状態に持たせています。
ここで重要なのは、失敗を「成功したように見せない」ことです。注文POSTを通信エラーだけで無条件に再送すると、最初の注文が実は通っていた場合に二重発注の危険があります。記録では発注の再試行を避け、次の起動で注文IDと取引所側の状態を照合する方針です。
再現するなら、まず読み取りとdry runから
同じ構成を検討する場合も、実注文をいきなり有効にせず、まずは状態確認と計算結果だけを見る順にします。ここでは運営者の記録をもとにした確認順を示します。利用する取引所の仕様や権限は、実行前に公式情報で確認してください。
- 対象サービスとAPI仕様を読む。 GMOコインの公式API資料でPublic APIとPrivate API、注文方式、銘柄表記を確認する。
- APIキーの権限を絞る。 記録の構成では資産参照と注文に限定し、出金・振替の権限を付けない。秘密情報はリポジトリのSecretsに置き、コードやログへ出さない。
- dry runで数量と残高上限を見る。 設定値、端数処理、注文数量が想定どおりかを先に確認する。
- 小さく読み取り確認をする。 取引所の稼働状態、残高、銘柄情報、板情報が取れるかを見る。エラー時に何が通知されるかも確かめる。
- 注文状態の保存と再開を確認してから、実注文を使うか判断する。二重注文を防ぐ状態管理が無いまま、定期実行だけを設定しない。
GitHub Actionsのスケジュールは遅延やスキップがあり得ると公式文書にもあります。だからこそ、動かなかった一回を人が見逃しても次回起動で状態から続けられる設計が要ります。
2026年10月の記録で分かった範囲
保存された状態では2026年10月サイクルが完了し、SOLは0.11、BTCは0.00015が約定済みとして記録されています。どちらもこのbotの一回の記録にすぎず、同じ数量・価格・手数料が今後も再現する意味ではありません。暗号資産の価格変動リスクや、API仕様変更も別にあります。
| 確認項目 | 記録から言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 状態保存 | 10月サイクルはDONEとして保存 | 毎月必ず予定日に完了する |
| 約定 | SOL・BTCともfilledとして記録 | 利益が出た、将来も同条件で買える |
| 障害対応 | API制限を受け待ち時間を追加 | あらゆる停止を自動で解決できる |
「自動化できたから安全」ではなく、どの状態で止まり、誰が何を確認すれば再開できるかを残す。今回の実測で価値があったのは、その見える化でした。価格の見通しや特定銘柄の推奨は扱いません。
基礎と実測を分けて読む
| 読みたい内容 | 記事 |
|---|---|
| 暗号資産の用語・仕組み | 暗号資産の基礎ハブ |
| 板・販売所・注文の実測 | SOLの実測時系列ハブ |
出典:運営者が管理するGMOコイン自動積立botの設計書・設定・実行記録(2026年10月サイクルまで。エビデンス取得時刻 2026年11月5日、コミット 869e579)/GMOコイン「暗号資産のAPIドキュメント」/GitHub Docs「Troubleshooting workflows」。API仕様・権限・実行条件は変更されるため、利用時は各公式情報で確認してください。