電気代の内訳は何で決まる?燃料費調整・再エネ賦課金・託送料を1枚で理解する
2026年7月28日・ためてこ編集部
「電気代が高い気がするけど、明細のどの部分が何なのか、正直よくわからない。」
そんな人のために、電気代の内訳を分解します。仕組みを知ると、乗り換えで下がる部分と、どこへ行っても下がらない部分がはっきり見えてきます。
この記事の結論
- 電気代は4つの要素で構成。乗り換えで変えられるのはそのうち「電力量料金」だけ
- 「再エネ賦課金」は2026年度4.18円/kWh。月400kWhの家庭で月1,672円・年20,064円(経産省公表値)
- 「燃料費調整額」は毎月変わる。上下するのは国際燃料市況であって電力会社のせいではない
- 「託送料」はどこに乗り換えても同じ。送電線の使用料なので会社を変えても消えない
電気代の4つの内訳
電力会社の明細(または検針票)を開くと、料金の内訳が書いてあります。大きく分けると4つです。
| 内訳 | 何か | 乗り換えで変わるか |
|---|---|---|
| 基本料金 | 使用量に関係なく毎月固定。アンペア数(20A/30A等)で決まる | ○ 変わる |
| 電力量料金 | 使った分だけかかる料金。1kWh×単価で計算 | ○ 変わる |
| 燃料費調整額 | LNG・石炭・原油の国際価格連動。毎月プラスにもマイナスにもなる | △ 会社次第 |
| 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギーの普及費用を全国で分担。国が単価を決める | ✕ 変わらない |
「託送料」は表に出てこないことも多いですが、電力量料金や基本料金の中に組み込まれています。新電力に変えても、電気を届ける送電線(一般送配電事業者が管理)を使う費用として必ず発生しています。会社を変えても消えない部分です。
「再エネ賦課金」は今いくら取られているか
電気代の明細で「知らずに払っていた」ものの代表格が再エネ賦課金です。正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」。太陽光・風力など再エネの電気を電力会社が固定価格で買い取る(FIT制度)費用を、電気ユーザー全員で分担する仕組みです。
乗り換えても、新電力でも大手でも、単価は全国一律で変わりません。
2026年度の再エネ賦課金(経産省 2026年3月19日公表)
- 単価:1kWhあたり 4.18円(税込)
- 適用期間:2026年5月検針分〜2027年4月検針分
- 月400kWhの家庭の場合:月額1,672円・年額20,064円
- 前年度(3.98円)比 +0.2円。制度開始以来初めて4円を超えた
月の使用量をかければ自分の負担額がわかります。月300kWhなら300×4.18=1,254円、月500kWhなら500×4.18=2,090円。年間に直すと結構な金額です。
制度が始まった2012年度の単価は0.22円/kWhでした。14年間で約19倍になった計算で、今後も再エネの普及に合わせて変動します。下げる手段はなく、節電で使用量を減らすのが唯一の対策です。
「燃料費調整額」はなぜ毎月変わるのか
明細を毎月見ていると、「燃料費調整額」の部分がプラスになったりマイナスになったりするのに気づきます。これは電力会社の都合ではなく、LNG(液化天然ガス)・石炭・原油の国際市場価格が毎月変動するからです。
仕組みはシンプルで、3〜5ヶ月前の燃料価格の平均を基に、各月の調整単価を計算して電気代に上乗せ(または差し引き)します。
- 燃料価格が上がっている → 調整額がプラスになり電気代が増える
- 燃料価格が下がっている → 調整額がマイナスになり電気代が少し下がる
「去年より電気代が高い気がする」の原因の一つがここです。プランも使用量も変えていないのに、燃料市況の影響が家計に直で入ってきます。
一部のプランには燃料費調整額に上限が設定されているものがあります(燃料価格が急上昇しても、電気代が際限なく増えないという安全弁)。大手電力のスタンダードプランや多くの新電力では上限が撤廃されており、燃料高騰の影響をダイレクトに受ける構造です。上限付きプランが選べるかどうかは、電力会社や契約プランによって異なります。
「託送料」は乗り換えても同じ
電気は発電所から送電線を通って自宅まで届きます。この送電線・配電線の網は一般送配電事業者(東京なら東京電力パワーグリッド、関西なら関西電力送配電など)が管理しており、全国でエリア独占です。
どんな電力会社と契約していても、電気を届けるためにこの網を使います。その使用料が「託送料金」で、経済産業大臣の認可が必要な公共料金の一部です。人件費・設備維持費・廃炉円滑化負担金なども含まれます。
乗り換えてもこのコストは変わりません。そのため「電力会社を変えれば電気代ゼロになる」は原理的にありえないのです。
託送料が「変わらない」理由
- 送電線・配電線はエリア独占の一般送配電事業者が管理
- 託送料金は経済産業大臣の認可が必要な公共料金
- どの電力会社と契約しても、同じ送電網を使う費用として発生する
乗り換えで実際に変わる部分はどこか
以上を整理すると、電力会社を変えることで動かせる部分と、動かせない部分がはっきりします。
| 項目 | 乗り換えで下がる可能性 | 理由 |
|---|---|---|
| 基本料金 | ◎ 下がる場合あり | 会社によって金額が異なる。「基本料金ゼロ」も存在 |
| 電力量料金(単価) | ◎ 下がる場合あり | 会社・プランによって単価が異なる。ここが主戦場 |
| 燃料費調整額 | △ 上限付き選択の余地 | 上限の有無はプラン選びで変えられる |
| 再エネ賦課金 | ✕ 変わらない | 全国一律・国が決める・節電しか対策がない |
| 託送料(送配電費用) | ✕ 変わらない | エリア独占の送電網。どこへ乗り換えても同じ |
つまり、電力会社を乗り換える意味は「基本料金と電力量料金の単価の差」にあります。再エネ賦課金や託送料は共通コストなので、これを除いた部分で比べるのが正しい比較の仕方です。
そのままパクれる確認手順
- 直近の明細(またはマイページ)を開き、4つの内訳それぞれの金額を確認する。「再エネ賦課金が月いくらか」を自分の数字で把握する。
- 年間の再エネ賦課金負担を計算する。月額×12で年間負担が出る。「あ、こんなに取られてたのか」と実感すると動機が出やすい。
- 乗り換えで削れる部分(基本料金+電力量料金)に絞って比較する。再エネ賦課金と託送料は共通なので、比較から除いても計算は合う。
- 乗り換えを検討するなら、申し込みはポイントサイト経由でワンクッション得をする。同じ申し込みでも、経由の有無で数百〜数千ポイント変わることがある。
「電気代が高い」のは何が原因か、正直なところ
2020年代に電気代が上がり続けた原因を整理すると、「再エネ賦課金の上昇」「燃料費調整額のプラス(LNG・石炭の価格高騰)」が主な構造です。電力会社が一方的に値上げしたというより、国際燃料市況と国のエネルギー政策の費用が家計に転嫁されているという構図です。
電気代上昇の主な要因
- 再エネ賦課金の上昇(乗り換えでは削れない)
- 燃料費調整額のプラス(LNG・石炭の国際価格高騰)
乗り換えで「電力量料金の単価差」を削ることには意味があります。でも再エネ賦課金は削れない。だから「完全に元に戻る」とはならないのが正直なところで、それを「乗り換えれば全部解決」と言う記事には気をつけてください。
電力の乗り換えで個人が実際にどれだけ削れたか、実例はこちらで確認できます。
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出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日公表)/資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」(enecho.meti.go.jp)。料金・単価は時期・エリアで変動するため、乗り換え検討の際は各社公式サイトの最新情報をご確認ください。